今回は中小企業の皆様にとって、いよいよ本格的に考えなくてはいけない「地方は本当に衰退するのか?」というテーマを取り上げたいと思います。
人口減少社会、高齢化問題など、TVやニュースを見ると「地方が今後危ない」という話はよく目にするようになりましたが、「どれぐらい危ないのか?」「いつ頃までもつのか?」「じゃあどうしたら良いのか?」その辺りに対してのリアルな調査や、私自身の考えも含めてお届けしたいと思います。
目次INDEX
日本の国土から自治体が消える?「消滅可能性都市」の衝撃
2024年に発表された人口戦略会議の報告書(朝日新聞消滅可能性自治体MAPなどでも同年大きく報じられました)は、地域の自治体関係者に大きな衝撃を与えました。
この調査によると、全国の自治体のうち、なんと4割近くにあたる744もの自治体が「消滅可能性都市(20〜39歳の女性が2050年までに50%以上減少すると推計される自治体)」に該当すると指摘されたのです。
「自分の街や村はまだ大丈夫」と思っている方も多いかもしれません。しかし、この数字は決してどこか遠い国の話でも、一部の過疎地だけの話でもありません。私たちが暮らす日本の国土の大部分が、今まさに消滅の危機に瀕しているという予測を示しているのです。
参照 : 人口戦略会議『令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート』(PDF)
朝日新聞社「消滅可能性自治体MAP」
「人口減少の危機」は政府も認めている
「こんなデータ不安を煽るための都市伝説ではないか?」と思ってしまいたいところですが、より公的なデータを調べてみると、政府自体も人口減少の危機を深刻に考えていることがわかってきます。
政府が発表している「高齢社会白書」や「将来推計人口」などの公式資料でも、日本の総人口が急激な右肩下がりを続け、2100年には5,972万人と、日本の人口は今の半分以下になってしまい、高齢化率は38.3%を超える国になってしまいます。
政府や各地方自治体も、すでにこの事態を「国難」として公式に認め、様々な対策に追われています。 これまでの「なんとかなるだろう」という楽観論は通用しない、極めてリアルな危機が目の前に迫ってきているのです。
参照 : 国土交通省『「国土の長期展望」中間とりまとめ 参考資料(令和3年6月)』(PDF)
「内需主導型経済」が日本を支えてきた
では、なぜ人口が減るとこれほどまでに地域経済が深刻なダメージを受けるのでしょうか。
その理由は、日本経済が長年続けてきた「内需主導型(日本にいる企業や人々が、同じ日本の国の企業や人々から商品やサービスを購入する割合が大きい経済のこと)」の構造にあります。実に日本の国内総生産(GDP)の6割近くが「個人の消費」に支えられています。
日本の多くのビジネスは「日本国内の人々が物やサービスを利用するためにお金を払う、定期的にお金を払い続けてくれる」という経済行動をベースに成り立っています。
新しい革新的な商品やサービスを世の中に生み出し、海外や新しいターゲットの人々から外貨を獲得するという「攻め」の経済ではなく、同じ経済規模で同じ市場である日本という国の中で、同じお客様(=日本人)を相手に商売をしてきたわけです。
なので、 「お客様(日本人)の数が減れば、国内の市場規模はそのまま縮小する」。しかも、国内の人口減少のスピードが加速度的に進んでいるので、同じように経済も加速度的に縮小する。
限られたパイを奪い合うだけの内需主導型ビジネスでは、人口減少に伴って売上が落ちていくのは必然です。地方の衰退の本質は、単に人が減ることだけでなく、「これまで通りのやり方で商売相手にしていた市場そのものが、目の前で消えていくこと」にあるのです。
参照 : 内閣府『令和元年度 年次経済財政報告―「令和」新時代の日本経済―』

業務効率化・DX投資は何のために推進が叫ばれてきたか?
実は政府はこの危機を乗り越えるために、「業務効率化」や「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の必要性が叫んできていました。
「デジタルの力を活用して営業力を強化し、新しいサービスを開発し、新しい市場に対して勝負をしなくてはいけない」そうしなければ縮小していく日本市場で生き残ってはいけないからです。
しかし、実際の調査結果(2024年中小企業白書など)を見ると、「ITを導入する上での予算が足りない」「ITを扱える人材がいない」「日々の業務が忙しくてそれどころではない」といった理由から、具体的な投資や変革に踏み出せていない企業が過半数を占めています。
危機感はあるものの、具体的な一歩が踏み出せない――この「足踏み状態」こそが、地方の停滞をさらに長引かせる原因になってしまっていると感じます。
参照 : 中小企業庁「2024年版 中小企業白書」
政府が掲げる「地域未来戦略」
こうした状況のなか、国をあげた新しい動きも始まっています。 高市政権が進める「地域未来戦略」や「AI基本計画」では、これまでの「地域の事業者の赤字補填」や「既存事業の延命」といった守りの支援から、一歩踏み込んだ方針が打ち出されています。
具体的には、全国の地域を複数のブロックに分け、地方に「AI」や「最先端産業(半導体・GXなど)」の集積地を構築しようという試みです。地方に最先端のテクノロジー拠点を作ることで、既存の枠組みにとらわれない「新規事業の創出」を促す、極めてチャレンジングな施策を始めようとしています。
政府はすでに「既存事業の延命」ではなく「新しい事業を起こしていく事業者を応援していく」という流れになっているという強烈なメッセージだと感じています。
こんな世の中に対して、私が特に強く感じるのは、「これからの地方は、本当の意味で「変化」しないと生き残れない時代になった」ということです。今までのやり方をすべて捨てる必要はないかもしれませんが、思い切った変化を受け入れる地域だけが生き残れるというシビアな時代が到来しているのだと思います。
参照 : 総務省「地域未来戦略の推進について(令和8年1月)」(PDF)
激変の時代を生き抜く!地方中小企業が持つべき「3つのマインド」
では、この変化の激しい時代を、地方の企業の皆さま、我々はどう生き抜けばいいのでしょうか。私は以下の3つのマインドセットが大事だと感じています。
- 「変化を味方につける考え方」(ピンチをチャンスとして捉え直す)
- 「簡単な、最新のITを活用する」(難しいITではなく、誰でもすぐ使えるツールから始める)
- 「さまざまな業種の人々とコラボレーションする」(自社や地元の殻に閉じこもらない)
地元のエリア内だけで完結しようとしても、人口や経済規模が縮小している以上、限界があります。だからこそ、県外やエリア外、さらには全く異なる業界の人々とコラボレーションし、今までとは違う新しい経済を、新しい手法で生み出していくプロセスをまわしていかないといけないと感じております。
「そんな大変なこと、うちの会社じゃ無理だよ……」と思う方もいらっしゃるかもしれません。そんなときはぜひ、地域の行政、商工会、の皆様に相談してみてください。実は今、こういった「変化」を促すための「オープンイノベーション(様々な業界の企業が共に学び合いながら新規事業を創る取り組み)」や、最新のAIなどの実践的なセミナーなどが、多くの自治体で始まっています。
実は当社も2025年12月から、自治体等が主催する課題解決型・新規事業創出プログラム「うずCo-creation」に、IT課題解決運営サポートとして参加しています。この取り組みを通じても、今回のメッセージを熱くお伝えしています!
▶︎ 「うずCo-creation」のプレスリリースはこちら(PR TIMES)

地方経済はこれからとてつもない「変化」に巻き込まれていきます。一つだけ言えることは「変化」を恐れ、何も変わらなければ経済規模の縮小が待っているだけだということです。
今こそ日本の地域の未来、日本経済の未来のために、共に変化し新しい経済を創り出していく、そんな時代を迎えていると感じております。