• X
  • Facebook
  • LINE
地方の「お付き合い文化」が強固なビジネス基盤となる理由と、外部企業を巻き込む方法の解説

地方の「お付き合い文化」が最強のビジネス基盤になる理由と外部企業の巻き込み方 

なべさん
記事 誰も語らない「中小企業のリアル」

故郷である福島県に帰ってきて、地方のお付き合い文化に対して、改めてその大切さを実感することが多くなってきました。

地域の清掃活動、自治体のイベント、バーベキューや芋煮会、消防団の活動など、こうした場に顔を出し、一緒の時間を過ごして同じ釜の飯を食べる。料理の後片付けをしながら、「◯◯さん最近どうしてる?」「次のイベントでは△△さんの野菜を使おう」と話が弾む。この共同作業と会話の積み重ねが、お互いの理解を深め、揺るぎない信頼関係を生み出しているのだと改めて感じています。

これは地方の中小企業経営者が長年かけて育ててきた、ビジネスにつながる人間関係のベース(基盤)です。一方で、この人間関係のベース作りの習慣が、地域外の人々からすると少し理解が難しいこともあると感じています。

都会の効率主義から見れば「非効率」ですが、この信頼関係こそ他社が真似できない「最強のビジネス基盤」です。本コラムでは、このお付き合い文化を外部との関係構築に応用する3つのステップや、外部パートナーを巻き込む4つのメリットを解説します。

外部企業からの突然の営業電話・メールが「失礼」に感じる本当の理由 

顔も知らない相手から突然かかってくる電話、何度も届くどこから来るかわからないメール。「御社の課題は何ですか?私たちであれば解決できます」と言いながら、地域の課題や事情をあまり理解していない提案内容が書かれている。 

「失礼な人たちだな…」「この人たちは地域のことを何も知らない」そう感じて、外部からの営業の話を聞く前に断ってしまった経験がある方も多いのではないでしょうか?そのお気持ちは痛いほどわかります。 

ただ、ここで一つだけ、私自身の経験からお伝えしたいことがあります。私も地方出身でありながら、若かりし頃は都会で地方の中小企業経営者に向けて営業ばかりしていました。その経験から言えるのは、外部企業の多くは、本当の意味での「お付き合いの文化」の価値とプロセスを知らないだけなのです。  

彼らは日々、本当にたくさんの目標数字に追われていて、結果を最短で出そうと必死になっています。そのため、時間がかかる「お付き合い」という文化に対してどうしても「非効率である」と感じてしまい、仕事上の何気ない会話でその文化を耳にしても「非効率なやり方だ」と切り捨ててしまっているのです。 

▲ゴールディンウィークはお庭でバーベキュー!地方ならではの過ごし方。お肉は地域のお肉屋さんで調達しました

都市部を拠点にする企業の多くは、関係性よりも先に「課題と解決策」を提示するビジネス文化の中で育っています。初対面でも提案書を持参し、数字でメリットを示せば話が前に進む、そういう環境で仕事をしてきた人たちです。  

地方では「まず人を知り、信頼してから話を聞く」のが当たり前でも、彼らにとっては「なぜ良い提案なのに話を聞いてもらえないのか」と本気で悩んでいることも多いのです。彼らに悪意があるわけでも、地域をないがしろにしているわけでもありません。ただ、「ビジネスの文化が違う」、それだけのことです。  

この「文化の違い」を理解したうえで外部企業と接してみると、見え方がずいぶん変わってきます。  

 「お付き合い文化」を外部企業との関係構築に応用する3つのステップ 

地方の中小企業経営者の皆さんがすでに体で学んでいる「お付き合い」の文化の作法。それを、外部企業との関係づくりにも応用してみてはどうでしょうか。 

地域の仲間と信頼関係を築くとき、最初から「仕事の話」はしませんよね。まず顔を合わせて、一緒に何かをして、少しずつ人となりを知っていく。このプロセスを応用すれば、外部企業との関係性も同じように育てられる可能性があるのではないか、と感じています。 

STEP1:「地域と自社への理解度」を測る  

最初の営業電話に関して、すぐに断らず、一度だけ話を聞いてみてください。その時、「提案内容」を見るのではなく、ぜひ「この人は自社のこと、地域のことをどれだけ知ろうとしているか?」という姿勢を探ってみてください。 

人口減少や後継者問題などの地域課題に関心を持っているか、自社の話を丁寧に聞こうとしているか。こうした点を確認するだけで、長期的に付き合える相手かどうかの見当がつきます。  

STEP2:イベントや勉強会に「一緒に来てもらう」  

信頼できそうな外部企業の担当者がいれば、地域のオンライン勉強会や交流会に誘ってみるのも一つの方法です。「うちの地域のことをもっと知ってほしい」と伝えるだけで、相手の姿勢が本物かどうかがはっきりわかります。

来る人は本気。来ない人は縁がなかっただけ、とシンプルに判断できます。 

STEP3:「自社の困りごと」を少しだけ言語化して伝えてみる  

地域のお付き合いの中で「最近うちはこういうことで困っていてね」と話すのと同じ感覚で、外部企業の担当者にも自社の課題を少しだけ打ち明けてみてください。それによって相手の提案の質が格段に上がります。 

▲パパが消防団に入ったので、子どもたちも興味津々。先日、上の子が消防隊員になりきって水をかけていました(笑)  

外部企業のパートナーを巻き込む4つのメリット 

日々の忙しい業務の中で、経営者自身が1から情報を調べたり仕事をしたりするのは難しいものです。しかし、こちらの事情を理解した外部企業、特にIT企業の頼りになる営業パーソンをうまく巻き込んでいくと、以下のようなメリットが生まれます。 

メリット1.自社の「右腕」ができる 

自社の業種・規模・地域事情をよく理解したうえで、最適な提案をしてくれる「パートナー(右腕)」が手に入ります。 

メリット2.本来の経営仕事に集中できる 

適切なITツールの導入が進むことで、スタッフの作業時間が削減され、経営者自身が本来の仕事に集中できるようになります。 

メリット3.経営判断orスピードと質が上がる 

外部の最新情報や業界トレンドが自然に入ってくるようになり、経営判断のスピードと質が上がります。 

メリット4.新たな「打ち手」が生まれる 

地域だけでは解決が難しかった課題に対し、外部の知見を組み合わせることで、新しい解決策(打ち手)が生まれます。  

「お付き合い文化」を外に開くことが、中小企業の経営を一段階ステップアップさせる 

地方の中小企業経営者の皆さんが大切にしてきた「お付き合い」の文化は、非常に素晴らしい人間関係を作る文化であり、これからも地域社会を支える仕組みとして変える必要はありません。  

ただ、その文化を「地域の内側だけ」に閉じておくのはもったいないと感じます。外部企業の皆さんに対しても、地域の仲間に対するのと同じように「まず人を知る」という姿勢で接してみると、思わぬところに信頼できるパートナーが見つかることがあります。  

文化の違いを「無礼」と切り捨てるのではなく、「知らないだけ」と一度さらっと受け止め、コミュニケーションをとる余裕を持つこと。それが、地方中小企業の皆さんの経営をさらに一段階ステップアップさせるきっかけになると感じています。 

編集者 なべさん

株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ 所属 / メディア連携&協業推進担当

現在、故郷福島県でリモートワーク中です。高校卒業後、大学生の頃から社会人時代を10数年首都圏で過ごしてきました。ITシステム会社、リクルート、Lancers、などで中小企業の皆様に対するビジネスを行い、東日本大震災、妻の出産、子育てがきっかけとなり故郷福島県に戻ってきて働いています。