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中小企業に対する「よくある誤解3選」

なべさん
記事 誰も語らない「中小企業のリアル」

こんにちは、なべさんです。本年もよろしくお願いいたします。
第2回目となる今回は、中小企業に対する 「よくある誤解3選」というテーマでお届けしたいと思います。

今回は特に、中小企業のITに関するイメージと、私自身がIT企業で営業活動をした際、特に実際のリアルな実情とのギャップが大きかったと感じている3点に関してお話ししていきます。

誤解1:中小企業には「お金がない」 

IT企業の営業担当の方は、中小企業の皆さまに営業をする際、「予算がないからサービスの契約はできない…」という断り文句を告げられてきたことが多くあると思います。
一生懸命提案して、「ふんふん」と聞いているように見えていても、最後はお金の問題か…と悲しくなるものですよね。私も過去何度もこのような場面に遭遇しました。 
 
何度、切り口を変えても、最後、値段の話になったときに「うちはお金がないから」と言われてしまう。
そういう言葉を聞き慣れてしまっているせいで、中小企業=お金がないと思ってしまっている皆さまも多いと感じています。 

ここに関して、実際のリアルなところをお伝えしますと、中小企業の皆様は実はお金がないわけではありません。
「投資の優先順位」が単純に、ITサービスに対して高くないという現実があります。 
 
ITサービスの導入よりも、工場稼働のための設備投資や人件費、そちらに数百万、数千万単位のキャッシュを投資します。また、中小企業を対象にしている補助金に関しても、これらの補助金額は IT分野などと比べて比較的大きな金額で補助が出るように設計されている状況があります。 
 
また、その他にも、節税対策の支出や地域社会への還元、あるいは福利厚生など、様々な観点で支出の優先順位があります。IT分野に対する投資の優先順位が低い理由には、こういった背景があるのです。 

▲郡山市で開催された、中小企業の人たちが集う地域クラウド交流会での様子 

誤解2:ITリテラシーが低い 

「ITに対して、何度説明しても理解してもらえない」「ITは苦手だと言われる」……。
この言葉を聞いて、「中小企業はITリテラシーが低い」と思ってしまうのはよくあることだと思います。 

一方で、よく語られているこのテーマに関しても、少しリアルな中小企業の現場で起きていることを観察してみると、違った側面が見えてきます。実は中小企業の経営者は、ITのリテラシーが低いというわけでなく、そもそもITに触れる時間、学ぶ時間、使ってみる時間が圧倒的に少ないということが見えてきます。 

中小企業の経営者は、大企業でいうと複数の部署の仕事を同時並行でこなしているようなもの。
「法務」「総務」「経理」「営業」を、たった一人で、同時並行でこなしているような状況というのがリアルなところであると思っています。

午前中は労務トラブルに対応し、午後は資金繰りを考え、夕方は現場のクレーム処理……。そのような業務の中で、「社長、少しお時間良いですが?」とITサービスの提案を受けるので、システムの機能や細かな話があまりスムーズに理解できず、「もう少し端的に話してもらえるかな?」という言葉が思わず出てくる経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。 

事前にその企業の課題を想定し、きちんとした提案をしたつもりでも、ついついぶっきらぼうに答えるその経営者の言葉を聞いて、「ITリテラシーが低い…」という感想を持ってしまいがちですが、実はその背景にはこういった実情があるのではないか?と思っています。 

▲お正月に訪れた、二本松市にある小浜城にて。太陽が神々しかったです 

誤解3:成長意欲がな 

「うちは売上の急成長や業務改善など望んでいない、今のままでいい」という発言、これもITサービスの営業などをするとよく耳にする言葉かと思います。こんな中小企業の経営者を見て、「中小企業は成長意欲がない、現状維持を望む」という印象を持ってしまうかと思います。 
 
しかし、この点に関しても実は、「身の丈の経営を維持する」という高度なバランス感覚を必死でとろうとしている経営者の姿が隠されていると感じています。 

例えば、中小企業の経営者が一番投資をすると言われている「人材」という領域のテーマに関しても、優秀な人材を採用したからといって、必ず売上が増えるとは限りません。また組織づくりなどをする前に、無理な採用を進めることによって、離職が増えてしまうというケースもよくあります。

売上拡大、組織の状況、キャッシュフローなど幅広く複雑な要素を日々分析し、その上で「現状はまだそのIT施策には踏み切るべきではない」という判断を下しているのだと思います。 

よくある誤解の視点を変えれば違った視点での「繋がり方」が見えてくる 

よくある3つの誤解、こちらに関してよく語られている中小企業の経営者のイメージのフィルターを一度外し、「なぜ、彼らはそう判断するのか?」という背景に思いを馳せると、中小企業の新しいリアルが見えてきます。 

そして、そのリアルは想像以上にとても複雑かつタフで、一人の人間がカバーするにはとても大変な問題を常に抱えているのが中小企業の経営者なのだ。と改めて感じるかと思います。 
 
ITサービスを営業する前に、いきなり企業の課題を想像し、仮説のまま提案してしまう前に、一度こういった大変な状況に寄り添い、只々、悩みに共感して話を聞いてみる。
そんなプロセスから少しずつ、中小企業の経営者はITサービスの営業担当者を「単なる営業担当」という視点から、「経営課題を相談できるパートナー」という視点で捉え始めるのではないか?と感じています。 

中小企業の皆様を理解する上で、まず「思い込みを捨て観察してみる」ということ、これはとても大事なことだと思っています。 

編集者 なべさん

株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ 所属 / メディア連携&協業推進担当

現在、故郷福島県でリモートワーク中です。高校卒業後、大学生の頃から社会人時代を10数年首都圏で過ごしてきました。ITシステム会社、リクルート、Lancers、などで中小企業の皆様に対するビジネスを行い、東日本大震災、妻の出産、子育てがきっかけとなり故郷福島県に戻ってきて働いています。