皆さんは「生成AI」を使ったことはありますか?
「ChatGPT(チャットジーピーティー)」といった方がしっくりくるかもしれません。実はChatGPTは、「生成AI」サービスの1つです。これまでも、私たちの生活の中にAI機能が使われていましたが、ChatGPTの普及により、私たちは意識してAIを使うようになりました。
しかし、「ChatGPT」を使ったことがあっても、「実は生成AIってイマイチなにか分かっていない…」という方も多いのではないでしょうか。この記事では、生成AIの基本をわかりやすく解説します。
この記事で解決できること
- 「生成AI」の基本、種類を理解することができます。
- これまでも使われてきた「従来のAI」と「生成AI」の違いを、理解することができます。
- 「生成AI」とは何かを理解したうえで、サービスを利用することができます。
目次INDEX
そもそもAIとは?「生成AI」と「従来のAI」の違い
そもそも「AI」とは何でしょうか?
AIは日本語で「人工知能」といい、人間の知的行動をコンピューターに行わせる技術自体を指します。「ChatGPT」は、そんなAIという技術を使ってOpenAI社が開発した、人間と自然な対話ができるチャット形式の「生成AI」サービスです。
ChatGPTが世の中に広まったことにより、「AI」が身近なものになりましたが、これまでも私たちの生活の中にはAIが使われていました。それをここでは「従来のAI」といいましょう。この「従来のAI」と「生成AI」は、どちらも優れていますが、得意な分野が根本的に違います。
従来のAIは、ルールに基づき学習する「分類・予測AI」
「従来のAI」は、あらかじめ人間が設定した「ルール」や、過去に学習した「データ」に基づいて、正しい判断を下したり、適切な分類をしたりすることが得意なAIです。
例えば、「迷惑メール」の仕分けもそうです。「迷惑メール」を見ていると、悪質なURLに誘導したり、詐欺の決まり文句のような言葉を使ったり、何通りかの特徴があります。従来型のAIは、こうした特徴をルールとして覚えさせることで、AIが届いたメールを自動で判断して。迷惑メールフォルダに移動させることができます。このように従来型のAIは、人間が今まで判断してきたルールを覚えさせることで活躍してきたのです。
生成AIは、新しいものを生み出すのが得意な「クリエイター型AI」
一方、生成AIは、「文章」や「画像」などを創造することや、情報を「要約・変形させること」に特化した、心強いクリエイター型のAIです。例えるなら、「あなたが指示した内容を元に、文章やイラストを作ってくれるアシスタント(クリエイター)」のようなイメージです。

生成AIは大きく分けて3種類。それぞれの「得意技」を知ろう
一口に「生成AI」といっても、何を生み出すかによって大きく3つの種類に分けられます。「ChatGPT」のような対話型のAIも、機能拡張や連携によって画像を作ることはできますが、その本質的な役割は「文章(テキスト)の生成」です。生成AIサービスにはそれぞれ、「最も得意なこと」があります。
①文章を生成するAI(テキスト系)
最も身近で利用者が多いのが、文章を生成するAIです。言葉や文章の作成・要約・翻訳などを得意としています。具体的なサービスとしては、「ChatGPT」「Google Gemini」「Microsoft Copilot」などがあります。
| 得意なこと | 具体的な作業例 |
|---|---|
| 文章作成 | メール文の下書き、ブログ記事の構成案、小説や詩の作成 |
| 要約・翻訳 | 長い会議の議事録をまとめる、外国語の文書を翻訳する |
| 会話 | 質問に答えたり、雑談の相手をしたりする |

②画像を生成するAI(イメージ系)
テキストや参照する画像に基づき、イラスト、写真、デザイン画像などを新しく作り出すことに特化したAIです。絵心がなくても、あなたが「こんな画像が欲しい」と伝えることで、AIがその言葉を形にしてくれます。
| 得意なこと | 具体的な作業例 |
|---|---|
| 画像生成 | SNS用のオリジナル画像、広告のイメージ写真、ウェブサイトの背景イラスト |
| 画像編集 | 写真から不要なものを消す、写真の雰囲気を変える |

③音や動画を生成するAI(メディア系)
また、オリジナルの音楽や、まるで人が撮影したかのような短い動画も作り出せるようになってきています。この分野は、文章や画像に比べてまだ発展途上ではありますが、現在、プロの現場でも大きな注目を集めています。
| 得意なこと | 具体的な作業例 |
|---|---|
| 音声生成 | 記事の文章をプロのような声で読み上げる(ナレーション)、オリジナルのBGMを作成する |
| 動画生成 | 簡単な指示文から短い動画やアニメーションを作成する |

生成AIを使用するうえで、知っておきたい基本
生成AIは非常に便利ですが、使い手の「コツ」を知らないと、期待通りの結果が得られなかったり、誤った情報を信じてしまったりする危険性があります。AIを上手に使いこなし、業務の効率を最大化するためには、次の3つについて理解をしておきましょう。
『プロンプト』 的確な答えが欲しいなら「指示」を具体的に
プロンプトとは、あなたがAIに「こういうことをしてほしい」と伝えるための指示文のことです。 AIも人間も同じで、指示が具体的であればあるほど、期待通りの回答や創作物を作ってくれます。
良い指示が出せれば、手直しが減り、作業時間が短縮できます。より的確な回答を得るには、AIに「あなたはプロの○○です」と役割を与えたり、「メールの下書きを300文字以内で」のように条件を細かく伝えることがコツです。
例えば、このキャラクターに着物を着せた画像を作りたい場合も、プロンプトのによって、提案される画像に違いがあります。

| プロンプト | このキャラクターに、着物を着せた画像を作ってください。 | このキャラクターに紺色の着物を着せて、日本の桜並木を背景にした画像を作ってください。 |
|---|---|---|
| 作成された画像 | ![]() | ![]() |
『モデル』 AIが作業を行うための頭脳のバージョン
AIの世界でいう「モデル」とは、AIが特定の作業を行うための「知識のセット」や「頭脳のバージョン」のことです。ChatGPTを使う際に出てくる「GPT-〇」は、現在、あなたが使っている頭脳のバージョンを表しています。数字が大きくなるほど、新しい知識を学び、より賢く、高性能になっていると考えてください。有料版では最新の高性能なモデルが使えることが多く、AIの性能を最大限に活かすことができます。
『ソース』 情報はどこから持ってきているか、間違った答えをすることもあるので注意が必要
ソースとは、AIが出した回答や情報が、「何を根拠にしているか」という情報の出どころのことです。ChatGPTをはじめとする生成AIは、インターネット上に存在する膨大な量の文章(ウェブサイト、書籍、論文など)を読み込んで学習しています。例えるなら、「とあるインターネット図書館にある本を丸暗記した人」のようなものです。そのため、様々な分野の情報をすぐに提供できます。
しかし、AIは「真実か嘘か」ではなく、「次に続く言葉として最もらしい言葉」を予測して文章を作っています。図書館の本の中には間違った情報も含まれているため、AIは学習したデータからデタラメな情報でも自信満々に答えてしまうことがあります(ハルシネーション)。
AIが出した回答を業務や重要な場面で使う際は、必ず別の方法で「ソース(根拠)」を裏付けし、情報が正しいかを確認しましょう。
まとめ
この記事では、生成AIについての基本と種類、利用する上で理解しておきたいことを解説しました。 今やAIは、あなたの仕事や生活をサポートしてくれる身近なツールです。この知識を活かして、AIへの苦手意識をなくしていきましょう!
- 「生成AI」は、AIの技術を使って文章や画像を生み出す「創造と生成」が得意なAIです。
- 従来のAIは、迷惑メールの仕分けのように「分類と予測」が得意な専門家です。
- 生成AIの種類は大きく分けて3種類あり、それぞれ最も得意な分野がある。

